ドンマイ

『あねとあなた』さんの作品

>『あねとあなた』さんの作品一覧に戻る

※無断転載はお断りいたします。

『私のお姫様』

作 あねとあなた

とある国のお姫様は病気でした。だから手術をしました。 手術は成功しました が、お姫様は泣いてばかりです。何日も何日も笑いません。

お姫様の友達の火の精と雪の精、そして、土の精がお見舞いに来ました。
「お姫様、どうしたの?」
と話しかけます。お姫様は、
「胸に跡が残るの、王子様と結婚出来なくなっちゃう。」
と泣いてばかりです。 そこで、火の精は、熱い紅茶を入れ、雪の精は、氷の花束を作り、お姫様にプレゼントしました。 一方、土の精は、なにも出来ませんでした。火の精と雪の精は、
「土の精、お見舞いをあげないなんて失礼よ。」
と責めました。土の精は、
「だって、私はお姫様の喜ぶ贈り物を持って来てなかったんだもの。だから私、お姫様の喜ぶ物を探しに行くわ。」

土の精は、花々の種を咲かせる妖精です。でも、姫自身に花を咲かせた方がいいと思いました。 でも、土の精には傷跡を消す事はできません。だから、お城の外に出て、魔女に会いにいきました。 暗い森を歩くと、光る家を見つけました。魔女の家でした。土の精は訳を話しました。 魔女は、土の精の話を聞いて、ある物をくれました。
「土の精、出来る事は一人一人違うのよ。」
土の精は分からなかったけど、贈り物が出来たので、城へ帰りました。

お姫様の部屋から、火の精と雪の精が出てきました。
「お姫様今日も泣いてたわ。」
火の精が言いました。雪の精も、
「今日も笑わなかったわ。」
土の精が、
「魔女に元気になる贈り物を貰ったから大丈夫よ。」
と言いました。火の精と雪の精も喜びました。姫の部屋に入ると
「お姫様、元気になる贈り物です。」
と箱を開けました。

すると、絵の具と筆が入っていました。その時、“え、私が描くの?”と土の精は思いました。 でも、毎日花を咲かせてきた私ならと、
「お姫様、この絵の具と筆で胸元に花を咲かせましょう。」
と言いました。姫は小さな声で、
「胸に花?」
土の精は言いました、
「肌にきれいな花を咲かせましょう。アクセサリーいらずのきれいな花を!」

姫は胸元の傷を見せました。小指程の小さな傷です。 その傷を茎に見立て、姫の 瞳と同じ青いバラを描きました。土の精がバラを描く時、
「ありがとう。でも、王子様は、傷のある私を嫌いにならないかしら。」
と言います。
「お姫様は、妖精の私たちにいつも優しくしてくれる。」
「そんな王子様もお姫様が好きです。」
と自信を持って答えました。姫はほこりをかぶった鏡を拭いて
「きれいな青いバラ。」

…涙が止みました。そして笑いました。
「傷を受け入れるわ。私の体の一部だもの。」
と言って胸元を開けたドレスを着ました。そう、今夜は姫の快気祝いのパーティーがあるのです。

陽が落ちて、王子様が訪ねてきました。
「姫、病気回復おめでとう。」
王子は笑顔で言ってくれました。 火の精は暖かなドレスを、雪の精は雪のように白いアクセサリーを、土の精は花で城中を彩りました。
「王子様、胸に傷が残ってしまったの。」
と告げました。
「私は、傷があっても姫が好きですよ。」
と言い、
「傷がなかったら、姫に会うことはできなかった。傷があるから、仲良しでいられるんじゃないですか?」
すると、抱き寄せてくれました。お姫様は暖かな涙を流しました。

胸元のバラは凛と咲き誇っていました。


ページ上部へ↑