ドンマイ

『あねとあなた』さんの作品

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『芽生え』

作 あねとあなた

私は太っていてオシャレなんてできない女の子だった。 だから、かわいい女の子達がうらやましかった。

そんな私の転機はブラを着けたことだった。十歳の誕生日にブラを買ってもらうことで変わった。 地元のスーパーで下着の専門スタッフに
「ポッチャリしてる子がブラをきちんと着けるとグラマーになって華やかになるのよ。大丈夫、下着なら強みになるわ。」
と言いながら、手早くブラのホックを止め、肩のストラップを調整しながら、教えてくれた。
「きれいよ。」
と言われて、鏡を見ると、そこにはふっくらとしたバストが実っていた。

その二つの実の間の影に自分の体なのに
“ドキッ”
とした。
“太った女の子”
から
“グラマーな女の子”
一瞬で変身した。
いけない遊びをしているようなドキドキ感とグラマーな胸を手に入れたことで初めて自分に自信が持てた。

“もし、この胸元を男の子が見たら、私のことをかわいいって思ってくれるかな?”
私は好きな男の子の事がチラッと頭に浮かんだ。

でも、恥ずかしくて心の中の実はすぐにはじけ飛んでしまった。
「どう?」
店員さんが尋ねた。
「うん、すごく良い。」
わたしの声は明るく、かん高くなっていた。

私はそのブラを買ってもらって、家でも着けてみた。 子どもでも着けられるまっさらな白にユリの花の刺繍がしてあるブラは、私の心をわしづかみにした。
“とってもきれいだな”
女の子は下着でいくらでもきれいになれるんだと心の中がぽかぽかした。

たった一つ

ブラできれいな胸が自分のものになった、それだけのことなのに、私の心は
“女って楽しい”
と思い、胸が高鳴った。その後も私の胸は美しいブラたちで、今日も私を彩る。 ブラを着けると自分の身体が愛おしくなる。


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